開発コンセプト

本当に価値のあるZippoとはなにか

「日本人の美的感覚で本当に高級と呼べるZippoライターを作りたい。」 そんな一言からこのプロジェクトがスタートしました。プロデュースを開始するにあたって決定したことはたったのひとつ。

「本当に価値があり、世界中の誰もがその価値を認める事ができるもの」

デザインありきで進める通常の企画とは異なり、幾分抽象的なコンセプトが製作委員会を悩ませました。価値をどこに求めるのか。デザイン?加工技術?世界中で販売されているZippoライターですから、それこそデザインは星の数ほどありますし、加工技術も様々です。世界中の誰もが価値を認めることが出来るものはありえないような気がしました。

日本の伝統工芸との出会い

そんなとき出会ったのが「越前漆器協同組合」関係者の言葉でした。

「漆器は何度も塗りなおして使う」

日本人は傷ついてしまった漆器を何度も塗りなおして生まれ変わらせ、長く大切に使っていました。割れ物の陶器とは異なり、漆器はお椀やお盆といった日用品に多く使われ、今でも高級料亭などからは漆器の塗り直し依頼が来るそうです。その話を聞いた時、「本当に価値のあるもの」の答えが見つかりました。

Zippoライターは永久保証ですが、機能的な故障に関してのみ保証が適用されます。外観上のメッキや塗料の剥離、傷は保証の対象外です。「永久的に使えるZippoライターをいつまでも美しいままで使ってもらう。」 画期的な塗り直し制度アイデアが閃いた瞬間、おぼろげだったコンセプトに鮮やかな色彩が加わったのです。

漆は経過年数による風合い、馴染みをお楽しみ頂くには最適な塗料ですが、使用時の不意な落下や接触による極度な剥がれ、割れに対してもアフターフォロー(有償修理)致します。部分的な修復(塗り)は色のバランス・漆の馴染みが良くないため<総塗り直し>となります。予めご承知くださいますようお願い致します。

越前本漆と河和田の職人たち

越前漆器の歴史は古墳時代の末期までさかのぼると言われています。約1500年もの歴史と伝統を受け継ぐ職人たちが、今までにない画期的な漆塗りZippo企画の中核部分を担います。鯖江市、河和田地区には漆の木から漆液を採集する漆掻き職人、表面を研磨し下塗りを施す下塗り職人、塗り・乾燥を繰り返しながら漆を塗っていく上塗り職人、さらに絵付けを担当する絵付け職人が街中に散らばり、河和田地区は越前河和田塗りの一大集積地となっています。

それぞれの工程は完全な分業制で、越前漆器の特徴とも言える堅牢性に、江戸時代から京都や輪島から蒔絵や沈金の技術を取り入れています。1500年の伝統を受け継ぐ河和田塗り職人の技術は日本随一と云っても過言ではありません。

このプロジェクトが目指すもの

1500年の伝統が生み出す深い光沢、越前本漆の堅牢性、まずは鯖江市、河和田が生み出す漆Zippoを堪能して頂くために、まずはプレーンな朱色と漆黒の漆Zippoをリリースします。

「越前本漆・河和田塗りZIPPO」は、漆器のようにいつまでも使い続けることが出来るライターです。機能的な故障は米国Zippo社が生涯保障します。外観の漆の剥がれ、割れにつきましても有償になりますが塗り直しを承ります。道具には霊が宿るといいます。100年間この漆Zippoが使い続けられた時、製作委員会のプロジェクトは完結します。

日本の伝統工芸の素晴らしさを世界に発信し、日本人にもその良さを再認識して頂くこと。それが製作委員会の使命です。今後はプレーンなタイプのほかにも様々なバリエーションの漆Zippoを展開していく予定です。

本企画のZippoはすべて手作業で塗りの工程を行っております。そのため大量生産が出来ません。
また手作業のため一品一品微妙な差異がございます。予めご承知くださいますようお願い致します。